妊婦の医療用消毒殺菌剤使用は子どもの喘息とアトピー性皮膚炎を発症させる?

皆さまこんにちは。

最近ビックリした研究結果をご紹介します。現在は新型コロナ感染症予防の観点から、一般の方も医療用消毒剤を頻繁に使用しているのではないでしょうか。

妊婦の職業上の医療用消毒殺菌剤の使用状況と、生まれた子どもの3歳時のアレルギー疾患発症との関連を解析した結果、医療用消毒殺菌剤を仕事で毎日使用していた妊婦から生まれた子どもは、使用していない妊婦から生まれた子どもと比べて、3 歳時に気管支喘息やアトピー性皮膚炎になる割合が高いことが明らかになった。

妊婦の職業上の医療用消毒殺菌剤使用と生まれた子どもの3歳時のアレルギー疾患との関連についてPrenatal occupational disinfectant exposure and childhood allergies: the Japan Environment and Children’s Study, 小島令嗣他,Occupational and Environmental Medicine, DOI:10.1136/oemed-2021-108034(2022年)

前回紹介したエコチル調査のデータを使用した研究です。

[方法]エコチル調査に参加した78,915 人の妊婦のデータ及び生まれた子どもの 3 歳時のデータを用いて解析した。妊婦の職業上の医療用消毒殺菌剤使用と、生まれた子どもの 3 歳時のアレルギー疾患発症(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー)との関連について、多変量ロジスティック解析を用いて解析した。

[結果]仕事で医療用消毒殺菌剤を毎日使用していた妊婦から生まれた子どもは、使用していない妊婦から生まれた子どもと比べて、3歳時に気管支喘息やアトピー性皮膚炎になる割合が高いことが明らかになった。一方、妊婦の仕事での医療用消毒殺菌剤の使用と、生まれた子どもの3歳時の食物アレルギー発症との関連は認められなかった。また、妊婦の仕事での医療用消毒殺菌剤の使用頻度が上がるほど、生まれた子どもが3歳時に気管支喘息やアトピー性皮膚炎を発症する可能性が高まる傾向にあった。

体に必要な菌もいる。過度な消毒はしないようにしよう

この研究を看護師の妹に伝えたところ、妹の子どもも3歳から6歳まで気管支喘息だったそうです。看護師は患者さんの感染予防のために、仕事中頻繁に消毒しています。

現在のところ感染予防は、手洗いか消毒どちらかで良いといわれています。

この結果を見ると、石鹸で良く手を洗うという選択をしたほうが良いのではないかと思います。

一般の方も、しきりに手の消毒を求められますが、必要な時だけにしたほうが良いのではないでしょうか。ウインドウショッピングで店舗に入る毎に手の消毒を迫られるのは、怖いと感じました。

私達は常在細菌叢を持っています。それらは肌を守るために必要な菌です。それらを殺して生活をすることの弊害は恐ろしいです。

必要な菌と共存する。

大事なことです。

新型コロナ感染症は、人々に過度な清潔志向をもたらしたのではないかと感じています。

皆さまはどう感じますか?

ではまたね。

Profile

大友光恵
大友光恵
大学講師 ( 公衆衛生看護学)
興味関心は、母子支援のための病院と地域の連携、看護職のモチベーションアップ、女性の生きる力を引き出すこと。
大学講師 ( 公衆衛生看護学) 興味関心は、母子支援のための病院と地域の連携、看護職のモチベーションアップ、女性の生きる力を引き出すこと。