テレビとスマホの使用が1歳と3歳の睡眠に影響するかどうかを調べた研究

皆さま、こんにちは。

私が平成の初期、長男の子育てをしていた頃は、テレビやビデオに子育てをさせてはいけない、と言われていました。

今や子育てはスマホやタブレットに子育てさせてはいけないといわれているのではないでしょうか?

最近は、スーパーや電車の中でスマホを子どもに見せている親を多数見かけます。

子どもが喜ぶ歌や動画などコンテンツも沢山ありますし、便利ですよね。

子どもがグズグズ言い出したり、大泣きしたりすると、子どもを騒がせている親という世間の冷たい目がささりますしね。

しかし、スマホを見せることで子どもに悪い影響はないのかも心配になります。

スマホやタブレットと子どもの睡眠に関する研究を見つけましたのでご紹介します。

1 歳と 3 歳の子どもの睡眠時間と就寝時間に対する画面視聴時間の影響:エコチル調査

 睡眠は、生涯にわたる身体的、精神的な健康維持に重要です。睡眠時間は、特に小児期の脳と体の発達に不可欠です。成長ホルモンは脳下垂体で生成され、特に、入眠から3時間の間に活発に分泌されるホルモンです。深い睡眠中に、成長ホルモンは活発に分泌されます。脳内の松果体にて生合成されるホルモンのメラトニン分泌の量はおよそ1歳まで急速に増加し、昼と夜のリズムを形成します。

 小児期の睡眠時間の減少は、発達および認知障害、記憶障害、肥満などの様々な有害作用を引き起こすことがわかっています。

Nishiokaらは、テレビ/デジタル多用途ディスク (TV/DVD) の視聴時間とスマートフォンやタブレット の使用時間が睡眠時間と就寝時間に及ぼす影響と、テレビ/DVD とスマートフォンやタブレットが睡眠に及ぼす影響の違いを明らかにしました。

合計 74,525 人の参加者の分析の結果、スマートフォンやタブレット は、3歳の子供の49%が使用していました。

TV/DVD の視聴は短い睡眠時間(1歳では11時間未満、3歳では10時間未満)と関連がありませんでした。

しかし、スマートフォンやタブレット の使用は短い睡眠時間と関連していました。

そして、スマートフォンやタブレット の使用時間が長くなるにつれて、睡眠時間が短くなるリスクが増加しました。

1 歳時の睡眠習慣が 3 歳時の睡眠に及ぼす影響

1 歳での遅い就寝時間が 3 歳での遅い就寝時間のリスクをもたらすことが示されました。

ここでは、夜10時までに寝る子と夜10時以降に寝る子を比べています。夜10時までに寝るのが良いですね。

睡眠時間ですが、アメリカの国立睡眠財団(NSF)は、1歳の子供には11〜14時間、3歳の子供には10〜13時間を推奨しています。

まとめると、子どもの健康の観点から スマートフォンやタブレット の使用には特に注意が必要であり、睡眠習慣は 1 歳から就寝時刻に注意する必要があります。

 1歳頃には夜更かしをせずに睡眠時間を確保することが、長期的には健康的な睡眠習慣のために大事だということですね。

スマホやタブレットは便利ですし次から次へと情報を得ることができます。娯楽の要素も大きく、油断すると私達大人もついついスマホを見すぎてしまいます。

午後8時以降は手の届くところに置かないなど、私達大人もスマホやタブレットを使う時間を決めることが必要ではないかと思っています。

皆さんはどう考えますか?

Nishioka, T., et al.:International Journal of Environmental Research and Public Health. 2022 Mar 25;19(7):3914.

エコチル調査とは、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」では、環境中の化学物質が子どもの健康に与える影響を明らかにすることを目的に、約10万組の参加者さま(親子)から収集させていただいた貴重なデータを解析し、研究を進めております。」

Profile

大友光恵
大友光恵
大学講師 ( 公衆衛生看護学)
興味関心は、母子支援のための病院と地域の連携、看護職のモチベーションアップ、女性の生きる力を引き出すこと。
大学講師 ( 公衆衛生看護学) 興味関心は、母子支援のための病院と地域の連携、看護職のモチベーションアップ、女性の生きる力を引き出すこと。