物語でしか描けない不都合な真実

皆さまこんにちは。

境界線精神遅滞と分類されているレベルのIQ70~84の子ども達が犯罪を犯している事実があり、それがどうして起きているか理解できる本にであいました。

知的機能は知能検査によって測られ、平均が100です。

知能指数(Intelligence Quotient, IQ)70未満を低下と判断します。知的障害の有病率は一般人口の約1%であり年齢によって変動します。男女比はおよそ1.6:1(軽度)~1.2:1(重度)です。

支援対象になるのはIQ70以下の方ですが、IQが70以上あるから知的に問題がないわけではありません。

知的に問題があると気づかれず支援を受けない子どもたちは被害者でもあり、加害者でもあります。

少年院の子ども達を診てきた精神科医の宮口幸治先生は

「恵まれない犯罪者」達について

「凶悪犯罪を起こした少年たちは、かつては学校や家庭で障害に気づかれず、イジメや虐待に遭ってきた被害者でもありました。そして、社会で守られるべき障害児が、最初は被害者となり、次に加害者になっていくのです。少年院では、そんな少年たちを大勢目にしました。実は皆さんの目の前にも、その予備軍である「困っている子どもたち」が大勢いるかもしれません。」と述べています。

境界線精神遅滞の人は人口の14%くらいいるそうです。

「ケーキの切れない非行少年たちのカルテ」

今までの「ケーキが切れない非行少年たち」、「どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2-に続く、事実をもとにした小説になります。

〇少年院を出院後に、知らぬ間に振り込め詐欺の受け子にさせられ、ついには殺人事件を起こす幸人。

〇中学の女性担任に肋骨骨折、網膜剥離の大けがをさせ、少年院に入院した恭子。その時妊娠8ヶ月であり入院中に出産する。

〇父子家庭で厳格な父を困らせようと自宅に放火した結果、隣家の女性を焼死に至らせた路彦。

〇幼馴染の女児(7歳)への強制わいせつ事件を起こして少年院に入院。出院後に再度わいせつ事件を犯す亮一。

全て事実を基に書かれています。

どうして?なぜ?そのような凶悪な事件を犯すのか分かりやすく理解できます。

例えば、すれ違った人が笑っていたら、自分のことを馬鹿にした!と捉えるなど認知が歪んでいます。

理解力も乏しく、人の上手い話に簡単に騙されます。短絡的であり、これをしたらこの先どうなるのかや他人の気持ちを考えることができません。

AVを見て、最初は嫌がっていたのに後半は喜んでいるから、女性はみなそうだと思っています。

単純で人のことばをそのまま鵜呑みにします。

自分を優しい人だととらえおり、反省の気持ちがみられません。

しかし、被害者の経験談から自分が悪いことをしたと反省することもあるようです。再犯を防ぐには、彼らに相応しい教育方法が必要だと感じます。

宮口先生はこのような少年少女たちの事実を伝え、どうしたら良いのかを社会に投げかけた、とても素晴らしい先生だと思います。

医療関係者だから障害のある方のことはよく知っているのでしょう?

と思われるかもしれませんが、そうではありません。

学校の授業は時間が限られているので、障害の基準や権利擁護の法律は学習しますが内容は浅いと思います。そのため、自分で勉強していく必要があります。

私は、本人が何に困っているのか、親が何に悩みどう対応しているのか、相談窓口はどこか、実際につかってみてどうなのかなど、本やSNSで学び続けています。そして、私にできるこを知り支援をしていきたいと思っています。

『非行少年たちも、かつては一定期間、小学校や中学校で過ごしていました。そこで障害に気付かれ、彼らの厳しい境遇に手を差し伸べてくれる人がいたら、違う生き方があったかもしれません。学校でしか救えない子どもたちが今も大勢いることを、一人でも多くの方々に知ってもらえればと思います。「ケーキの切れない非行少年たちのカルテ」より』

今日も読んでいただきありがとうございます。

Profile

大友光恵
大友光恵
大学講師 ( 公衆衛生看護学)
興味関心は、母子支援のための病院と地域の連携、看護職のモチベーションアップ、女性の生きる力を引き出すこと。
大学講師 ( 公衆衛生看護学) 興味関心は、母子支援のための病院と地域の連携、看護職のモチベーションアップ、女性の生きる力を引き出すこと。