私は子どもに頑張らせたらいいのだろうか、それとも頑張らせない方がいいのだろうか、いつも迷います。ここでもう少し頑張ろうよ、と言うことが後押しとなり良くなるかもしれません。しかし、頑張って頑張って、逃げずに頑張った結果、自殺をする人もいます。
「そもそも、頑張れない子がいる。」
作者は、医療少年院でそのような少年たちを見てきました。
そして「がんばらない」と「頑張れない」の違いについて言及しています。
見た目が普通に見える人が頑張れないと言っても、どこまで理解されるのか。頑張らないと頑張れないは他者からはわかりません。
頑張っていないと頑張れるのに頑張っていないとみなされ、誰も好んで支援してくれません。それどころかやる気がない怠けているいつも口ばっかりとネガティブな烙印を押されます。
支援をしたくないような人こそ実は支援の対象
頑張れないためになかなか物事を達成することができず、そのため自信が持てません。
叱られた自分なんてダメだ、どうせみんな自分のことを馬鹿にしてるに違いない、とネガティブな思考被害的な思考に陥ってることもあります。
また大人に対してもこんな何もできない自分でも見捨てないだろうかとの不安から色んな不適切な行動を展開し試し行動を仕掛けるそうです。
嘘をつく、お金の持ち出し、暴言暴力、万引き、夜間徘徊など。
こういった行動を繰り返す子どもたちは、厄介な子供にみえます。
関わると面倒くさい人こそ支援が必要
支援の相手は自ら頑張ることが苦手な人たちです。
しかも自分から支援を求めることはあまりありません。
困っていないふうに見えてしまうので支援者も気づかないことが多い。また支援しようとしても感謝の言葉をかけられるどころか、余計なお世話だと言われることもある。
- 頑張れないから支援しなければいけない
- 支援したくないから支援しなければいけない
- 困ってないふりをするから助けないといけない
- 支援の場に自ら来られないから支援しないといけない
そういう相手には支援者も喜んで支援したい気持ちにはなりにくいと思います。しかし、そのような人こそ支援が必要といえるでしょう。
では、どのように支えていけば良いのでしょうか。
頑張れるを支える三つの基本
- 安心の土台
- 伴走者
- チャレンジできる環境
安心感と寄り添ってくれた大人の存在があることで、新しい自分に変わりたい、新しいことにチャレンジしたいと望むようになるようです。
これは、どのような子どもにも適応できると思います。
支援者が気をつけること
1.自分ばっかり厳しくしていると被害的に受け取ってしまうこともある。
そうなると本人は助けて欲しい時にまた叱られるのではと感じ、支援者に頼りにくくなる。そうなると結果的に他者と距離を置くようになり、孤立していくことにもつながりかねない。
2.頑張れないのは本人の能力のせい。
これ以上本人にチャレンジをさせない無理をさせないようにすること。そういうことが続けば本人も頑張る機会を逃してしまう。いつまでも自己イメージは低いままで学ぶチャンスも拒まれ続けることにもなりかねない。
3.頑張れない人の気になる行動に目を向け、頑張れない行動の背景を考える。
頑張れない人に対し支援者が、可愛くない、関わるのが大変、といったネガティブな感情になるのは当然。そんな時は自分一人だけで頑張って支えようとせず誰かに相談する。
支援者も支えてほしい
頑張れない子は支援者を遠ざけるような行動をすることがあります。
嘘をつく、約束を破る、問題行動を頻繁にする、謝らない、支援者に暴言を吐くなど。
このような子ども達をみていると、支援者は疲弊します。憎しみや怒りも生じやすいでしょう。
支援者自身の心の安定もおろそかにできません。
そこで、支援者同士の支えあい、連携が必要です。連携は、個人の負担を軽くし、精神的な疲弊を防ぐ効果があります。
しかし、支援者同士の押し付け合いや、足の引っ張り合いなども見られ、支援者同士の連携がうまくいってないこともあるようです。
連携は言うは易し行うは難しです。
支援者の心が折れてしまわないように、支援者を支える人間関係は何より重要だと思いますが、連携を促進する方法については、皆さん苦労しています。
どうしたら良く連携ができるのか、調べたことは、また今度記事にしたいと思います。
***
●困っていないように見えるから支援しなければならない、
●自分で来られないから支援しなければならない。
今回分かったことは、頑張りたくても頑張れない人がおり、
そのような人には頑張れ!ということは、逆効果であるが、頑張る機会をすべて奪ってしまうと成長の機会を奪い取ってしまうということ。
見極めるには、どういう人であるかをよく理解する人間関係が必要であると感じました。
頑張れと言ったらよいのか、頑張らなくて良いと言ったらよいのか、押しどころと引きどころは、本当に難しい。
どうしても頑張れない人たち,宮口幸治,新潮新書,2021.
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