部下との信頼関係を育む、“伝え方”のコツ
クッション言葉と提案で変わる、上司のコミュニケーション
「部下に注意したいけど、どう言えばいいかわからない」
「伝えたつもりでも、反発されたり落ち込まれたりしてしまう…」
そんな悩みを抱える上司の方は、少なくありません。
パワハラと受け取られるのが怖くて黙ってしまったり、逆に強く言いすぎてしまったり──。
実は、その間にある“ちょうどいい伝え方”があります。
それが、アサーティブ・コミュニケーションです。
アサーティブとは、自分の思いや要望を率直に、でも相手を尊重しながら伝える方法のこと。
上司の立場だからこそ、この伝え方がとても重要です。
アサーティブな伝え方の3つのポイント
〜クッション言葉+状況説明+提案〜
① クッション言葉でやわらかく始める
たとえ部下への指示や注意であっても、最初の一言に「柔らかさ」があるだけで印象は大きく変わります。
一方的に命令するのではなく、相手が話を受け取りやすくなる前置きを添えましょう。
🔹例:「申し訳ないのですが」「ちょっとご相談なのですが…」
② 状況や気持ちを具体的に伝える
「やっておいて」と言うだけでは、背景が伝わらず、納得感も生まれません。
なぜ今その対応が必要なのか、自分がどんな状況なのかを丁寧に伝えることで、相手の理解も深まります。
🔹例:「今日中にこの資料が必要で、私も他の業務が重なっていて…少しお願いできないかと思って声をかけました」
③ 代替案や選択肢を添える
一方的な指示ではなく、相手の状況にも配慮した提案型の伝え方を心がけましょう。
「これをやってください」ではなく、「どうでしょうか?」と投げかけることで、部下の主体性も引き出せます。
🔹例:「急なお願いで申し訳ないですが、今日の午後か明日の朝、どちらかで対応してもらうことはできますか?」
職場でいきなり変えるのは難しい。だから、まずは家庭から練習を
このようなアサーティブな伝え方は、頭では分かっていても、いざ実践となるとなかなか難しいものです。
だからこそ、職場でいきなり完璧を目指すのではなく、まずは家庭から練習するのがおすすめです。
たとえば…
子どもが片付けをしないとき
- ❌「また出しっぱなし!何度言えばわかるの!?」
- ⭕「そのままだと踏んじゃいそうでちょっと心配なんだ。使い終わったら片付けてもらえると助かるよ」
パートナーが家事を後回しにしているとき
- ❌「私ばっかり動いてるじゃない!」
- ⭕「今ちょっと疲れてて…、食器洗いお願いしてもいい?」
家庭での小さなやりとりで、率直さとやさしさのバランスを練習することができます。
その経験が、自然と職場での伝え方にもつながっていきます。
「言い方」で、信頼もチーム力も変わる
この3ステップを意識するだけで、伝える内容は同じでも、受け取り方が大きく変わります。
部下も「信頼されている」「自分の意見も尊重されている」と感じ、モチベーションや行動に変化が生まれます。
上司の“伝え方”は、チーム全体の空気をつくるもの。
命令ではなく共に働く仲間としての伝え方を選ぶことで、関係性も、成果もきっと変わっていきます。
まずは、ひと言目にクッション言葉を加えることから始めてみませんか?
「伝える」ことは、上司の大切なスキルのひとつ。
だからこそ、家庭という一番身近な場所で練習しながら、丁寧に磨いていきましょう。
