「誰かのために頑張る社員が、辞めてしまう前に」──ケアする人こそ、支援が必要な理由

会社の中で、「人のために動ける人」「気が利く人」は貴重な存在です。職場の空気を和らげ、困っている人に自然と手を差し伸べ、相手の気持ちを察して動ける。そんな社員がいることで、チーム全体の雰囲気が保たれていることも少なくありません。
けれど、そうした“優しい社員”ほど、実は静かに疲弊していることがあります。
ケア疲れは「見えにくい疲労」
気づけば常に誰かのフォローに回り、自分の休憩時間を削り、感情を抑えて笑顔で対応する── そんな日々が続くと、心も体もいつの間にか消耗していきます。
これは「ケア疲れ」と呼ばれる現象で、特に女性社員や、介護・育児と両立しているスタッフ、医療・福祉職経験者などに多く見られます。
表面上は問題なく見えるけれど、ある日突然「もう無理です」と退職を申し出る──そんなケースは決して珍しくありません。
なぜ優しい人が辞めていくのか?
優しい人は「頼られるから」負荷が集中します。 けれど本人は“断る”ことに罪悪感を持ちがちで、自分の限界を口にしづらいのです。
周囲もまた、「あの人は大丈夫」と思い込み、気づけば無意識のうちに甘えてしまっていることもあります。
だからこそ、優しさの限界には、周囲が気づく仕組みが必要なのです。
経営者ができること
- 月1回の面談などで「最近どうですか?」と聞ける時間を設ける
- メンタルや健康のセルフチェックを導入する
- 「優しさ」が可視化される評価制度の検討
- 保健師など外部専門職によるサポート体制の整備
「辞めたい」と言われてからでは遅いのです。 何も言わないまま退職を選ぶ人を減らすために、“何も起きていない今”から備えることが、実は一番の危機管理です。
おわりに
私は、前回ブログ記事にしたシェービングの社員さんが辞めた背景にも、ケア疲れがあったのではないかと感じています。
誰かのために尽くせる“やさしさ”は、企業にとって最大の財産。 だからこそ、それを“消耗品”にせず、守り育てる視点が今、求められています。
優しい人ほど、静かに限界を超えてしまう。
その前に気づき、支えられる会社でありたい──そう願っています。